迎える朝 15F(65.2×53㎝) 増田信敏 作  

¥1,050,000

壁に飾られた絵画は、ボッティチェリ作「ヴィーナス誕生」より、美の象徴であるヴィーナスの上半身が優雅に描かれています。彼女の髪は金色できらめきを放ち、風に舞うように広がっています。優美な曲線は女性らしさを際立たせ、瞳は深い知性と優しさを宿し、魅力的な表情が観る者を引き込みます。

ヴィーナスの絵画の下には、エプロンが無造作にかけられた椅子と白いクロスがかけられたテーブルが配置されています。テーブルの上には豊かな食事の象徴が並びます。卵は新たな生命と豊かさを象徴し、果物は豊かな収穫と官能的な喜びを暗示しています。皿は食事の共有と豊かさを象徴し、一輪の薔薇の花は愛と美を象徴しています。

この部屋は美、豊かさ、官能、そして愛の象徴で満ち溢れており、鑑賞者に深い感銘を与えるでしょう。 また、ボッティチェリ作品への素晴らしいオマージュにもなっています。

 

“たとえ明日、世界が滅びるとも、今日、私は林檎の樹を植える。”(伝=マルティン・ルター)
増田信敏の絵は、なぜ写実なのだろう。真実(まこと)を写す画家だからではないか。精霊なる神は遍く在り、真実は細部に宿る。なにげない日常にある事、さりげなく当たり前にある物に、神聖を見る画家だ。
「聖なる物たちを描き続けること…それがわたくしの仕事です。
ある朝、薄明かりのアトリエで一人座っていると、窓際に置かれた物たちがまるで太古の昔から音もなく深く静かにそこに存在しているかのように見えてきた。時をこえ語りかけてくることに感動し、物を見て表現するということを改めて考えさせられる、ひとときでした。」
増田の言葉だ。八木重吉の詩の世界が思い浮かぶ。彼も静かに祈るクリスチャンであった。
既存画壇には背を向け、故郷の福岡県で釣りを楽しみながら日常の聖なる物たちを描く、寡黙で寡作な画家の作品。

1947:福岡県苅田町生まれ/1965:銀座夢土画廊で個展(中西夏之に師事)/1966:二科展初入選、以後10回入選/1984:北九州黒崎そごうで個展/1991:銀座中央画廊で個展/1992:西日本美術展入選/1997年:銀座ギャラリー清水で個展/2002:銀座小財堂画廊で個展/2006:行橋市赤レンガ館(県重要文化財)で個展/2008:銀座薔薇画廊で個展/2011:福岡日動画廊の写実九人展へ出品
2000:山形孝夫著「死者と生者のラストサパー」(朝日新聞社) 表紙カバー絵担当/2001:夏樹静子著「茉莉子」(中公文庫)表紙カバー絵担当/2003:「現代の絵画」(朝日アーティスト出版)への掲載/2006:NHK北九州放送「思い出の散歩道」で写実を極める画家として放映される/2007:藤谷治著「洗面器の音楽」(集英社)表紙カバー絵担当/2011
福岡 日動画廊 写実九人展へ出展

●現在、無所属にて活動